ある日のぎっくり腰のお話
ども、からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 藤井崇次(泰心堂)です。
なんというか、”「一回で良くなりました!」とか正直どうでも良い話なんですが、まあ、タイミングが合えばこういうことは当然に起こります。”的なお話。
ええ、出だしの挨拶のストックが枯渇したのでこんな感じでスタートしましょう。
泰心堂には秘密のノートがあるらしい。……実はただのメモ帳。
はい、改めましておはようございます!ええ、これを書いているのはテンションが微妙に低い朝方です。
お陰様で2020年は、近隣から大幅減収とか、休業とか廃業とか聞こえる中微ではありますが増益となりました。
これもひとえに私の実力、もといご支援いただいたみなさまのお陰です。
まあ、どことは言わないが行き当たりばったりの適当な施術がまん延する中、再現性の高い、合理的な施術を提供しているのだから当たり前ですよね。ともちらっと思わなくもないですけどね。
施術のポイントは、東洋医学ではなく、解剖学や生理学などからだの構造や性質に基づいて、何が問題になっているのか(病理学)、どう対処するのか(筋・神経の性質)のかを明確に持っておくことですかね?
この業界はテクニック自体の移り変わりというか流行(=トレンド)もころころと変わりますし、アプローチもCM的にはころころと変わります。
ちょっと前まで、自律神経がキーワードだったかと思うと、筋膜になったり、一次呼吸になったり、脳脊髄液循環になったり、Facia(ファシャ、ファシア)になったりまあいろいろですね。
ちなみにこのFacia、私はファシアの方が呼びやすいのですけど、なんというか”膜”って概念ですね。この考え方が自由が丘の”あたまの整体”とパクリ大増殖事件でご高名な古藤氏の考え方に近いかな。個人的には、なんというかこれ要は皮膚鍼の技法でしょって思うんですけどね?主として圓鍼の技法ですかね。深度でいうと皮毛・肌肉・血脈・筋・骨の肌肉~筋あたりですかね。
まあ、それはそれとして、何をしているのかは自分の言葉と自分の立場を踏まえて再定義することは大事です。
さて、今回の症例はというと、いつもお世話になっている某スポーツクラブのインストラクター……ではなく、別のスポーツクラブでご活躍中のインストラクターさん。ええ、ぎっくり腰状態だそうで、悲壮感が漂うメールが舞い込んできました。
この手の話をするとですね。「なんと1回で!」とか「〇秒で!」とかいう話になりがちですけどね、動けるようになることと仕事ができること、日常生活に問題がないこと、治癒はそれぞれ違う次元のお話ですのでご注意を。
正直、筋断裂が起こっている場合は、筋断裂が治癒に到る時系列に沿って遅延なく治ったところで3週間くらいですかね?そこにいろいろな事情が重なるので長引く人はそれなりに長引きます。それがからだの仕組みですからね。
で、こちらの方は、「翌日朝一番で仕事が!!!代行も頼める時間がじゃないし、事実見つからなかった」ということでまあなんというか自業自得というか。
さて、問題です。こういう時ってどうします?
ぶっちゃけ正解は「できるだけ調整してみますが、明日の朝、動けなかったらあきらめてね」ってのが妥当ですかね。
で、調整すべきポイントは
1.関節:関節の要らないロックを外し適正位置に自動的に収めるイメージですね。
2.筋肉などのリリース(解放):近いの血流促進系の技法ですかね。
関節自体は固有受容器ってのに刺激を入れると自動調整が行われます。
筋肉は頭の命令により収縮します。関節のロックは原則的に筋の緊張=収縮で起こります。
筋肉のロック=硬結は、頭の命令により起こります。これは意識的に、無意識的を問いません。いわゆる反射的な収縮もまた脊髄レベルにとどまらず、頭のレベルまで信号が届きますので、広義で考えると頭の命令により収縮し続けていると言って問題がありません。
ということは、泰心堂的な解釈によると、「結局、頭の問題なんだよね」って話になります。
あとは、ざっくりと頭の命令解除を促すか、ピンポイントで頭の命令の解除を促すかの問題になります。
たとえば、私も会員である日本DRT協会方式、DRTでお話すると三大指標+DRTは非常にベーシックなテクニックですが、これはどちらかというとざっくりとした方法。さらに十二指標や個別指標を加えるとある程度ピンポイントに近い技法になります。
ついでに、質問があったので緩消法についての私見も書いておきましょう。詳細は緩消法 坂戸孝志で検索して公式サイトをご覧いただけると良いかと思います。
さてあくまでも私見ですが、坂戸氏は根治療法として腰部の緩消法を上げています。これは腰部の緊張-仙骨周辺の可動性の問題と考えると仙骨律動-脳脊髄液循環リズム-一次呼吸あるいは姿勢制御の起点として考えると三半規管など平衡覚への影響なども考えられますし、腹部の血流の増大と正常化なので腸脳相関からみてもメリットがありそうです。が、まあおいておいて根治療法はざっくりとした調整、個別の部位の筋緊張の弛緩がピンポイントの調整になるかなと思います。
ここで間違えないでほしいのは、どちらが優れているのではなく、ざっくりとした調整で足りるのならば、それだけでも良い。あるいはピンポイントの調整で足りるのならそれも良いということ。
さて、じゃ、症例の方に戻るけどどうしたのか?
1.頭部拡大など頭部の問題→あり
2.DRT三大徴候から、AR3、SR2、CRの反応
※DRT三大徴候については日本DRT協会の方にお問い合わせください。
3.DT1 B、DT3不可、DT4不可、DT5R
DTは動体療法の検査なので動体療法協会の方にお問い合わせください。
4.FSSに基づいたキネシオロジーテスト
とまあ検査、検査、検査ですね。個人的には施術は少なくとも5割以上が検査であるべきだと思いますし、うちの場合は8割程度検査ですかね?
なんで検査をするかというと、現状認識→調整→前後変化の認識→自己最適化というからだのフィードバック機構を利用した最適化を促すためです。
で、検査のコツというよりよくある施術家サイドの誤解ですが、変化しなければならないというなんというか強迫観念?
調整の結果変化しなかったという時、次のことが考えられる。
1.そもそも要らない
2.変化量が極めて少ない
3.変化する余力がない
まあ、1.2.は施術者側の問題ですね。1.のケースでは、要らないあるいは防御反応が起こるほどの刺激(ダメージ)を入れた場合、防御反応が優先されるため想定していた関節可動域などの変化が起こらない、むしろ増悪したかのように反応することがあります。ぶっちゃけますが、マッサージで緩まないのはこれが原因です。で、緩まないからと言って無理やり力尽くで緩めていくと、筋が抵抗できなくなって弛緩しますが、この後に起こるのが超回復という筋トレ後の反応と同じ反応が起こります。つまり、より強く固まれるように強化されるわけですが、必ずしも良いわけではない。揉み返しなんてのはただのごまかしです。2.のケースでは施術者側の観察力が足りないのが問題です。要は自分がしたことに対して自信がないんですよね。
3.は対象=顧客側の怪我の程度や体力的事情などですね。変化しないものを変化させようとするとより大きなダメージを与えるだけなので無意味です。
1.2.ではないと確信があるのならば素直に、変化しなかったという事実を認識するだけでOKです。
はい、検査(チェック)はこんな感じ。
で、この方、腰持ち上げ、膝抱えの動作ができず、膝倒しも右に倒した時に左に痛みの状態なので、まあ、前後方向と左腰の伸展時痛があるってことですね。
極論、ここで終わりでも十分現状認識できているわけですから、からだの仕組み上、治そうというスイッチは入っているわけですが、施術者としてはここでもう1アクション入れてもっとうまくスイッチが入ると良いなとばかりに基準(蓄積疲労状態で崩れた基準→良い状態に近い方向と基準をずらす、意識させる)をそれとなく教えたいわけです。
そのために入れるのが調整的刺激であり、その変化を意識させるのが再検査という手続きですね。
さて、具体的な調整の話に入りますが、この方、いつもの背部揺動刺激(DRTのベーシック)が痛み誘発だったので、それはやめてロックのかかった関節付近に、圧縮・離開・屈曲・伸展・回旋の動きを細かく入れて固有受容器を刺激、ある程度解除されたことを確認して、筋腱に刺激を入れて緊張・弛緩からの適正化を促して再検査。
先の検査指標の内、不可→可に変化し、首が残ったので、頭蓋刺激をして首のRの圧痛が消失したところで、自動動作での確認。具体的にはレッスンで行う動きでの痛み、動作不良などのチェック。
ええ、幸い問題なく動いたので、あとは明日の朝の状態で判断してねとある程度判断投げて終了。
そしたら、この人、朝から連チャンで合計3コマ、3時間のレッスンをしたらしい。
で、また腰痛~いと大騒ぎ。本当に自業自得だよね。
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