あまりアピールしていない腰痛関連のお話
おはようございます!
からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 藤井崇次(泰心堂)です。
実は、泰心堂って”肩こり”、”腰痛”ってほとんどアピールしていないのに、重度の腰痛患者さんがわざわざ訪ねてきたり、気づいたら実は手術勧められていてなんて方が来院したり、そしてこっそりと慢性腰痛者用の施術+動作改善プログラムがあったりします。
ええ、本当は、得意なんですよね。
ただ、近隣が、接骨院、整骨院、よ~わからん時間いくらの整体(骨盤調整)、時間制マッサージなどが多くて、正直、肩こりや腰痛の患者さんの取り合いをしている状態です。
そこにうちも看板出すと、……過去、看板壊されたりとかありました。
で、数年たって酷い状態でうちに来る。
なんかそんな流れができています。
「結構大変な人が来るのでは?」
まあ、一般的には大変な方がよくいらっしゃいますが、正直な話をすると、「どこに行っても良くならなかった」的な話って実は私にとっては簡単だったりします。
まず、それが私たちの分野の話かを分けてしまいます。そして妥当な提案をすることが大事です。
たとえば、腰椎圧迫骨折をしている人が「"元"に戻りたい」と要望した場合、私の答えはまずは「No!」です。腰椎圧迫骨折ということは椎間が狭いというだけでなく、骨自体が変形、変性、骨折など器質的な問題を持っています。この骨自体など器質=器、外形の問題は、ひとのからだの仕組み上、元に戻るものと、元に戻るレベルを超えてしまったもの、元に戻らないものとがあります。
元に戻るもののことを”可逆性”という、元に戻らないものを”不可逆性”と言います。
このケースの場合は、腰椎自体が自然に元に戻るかというと、ほとんどの場合はあり得ません。よっぽど特殊な条件が成立した場合、再形成という形であり得るかもしれないレベルですね。このあたりは再生医学の分野なので、少なくとも私たち徒手療術家の出番ではありません。
次いで「でも、今よりマシな状態にするお手伝いはできると思います」と続きます。つまり、腰椎圧迫骨折によって生じていると思われている症状、状態のうち、からだの最適化によって軽減、解消するものに焦点を当てます。
多くの場合は、歩行の問題、疼痛の問題に集約されてきます。
歩行の問題は、上半身の屈曲/伸縮/回旋の問題と、下半身の腰椎と仙骨を中心とした屈曲/伸展/回旋運動の問題とがあり、それが不安定であるために起こります。あとはその代償運動だったり、補正だったりで下肢の捻じれなどが強くなるケースが多い印象ですね。
※このあたりは、伊藤昇『身体革命』、『スーパーボディを読む』、栢野忠夫『動く骨』などが参考になります。
疼痛の問題は、一般と治療院業界の常識が生理学的な常識とどこからかズレていることにより非常に複雑になっています。疼痛、痛みの問題はまずちゃんと理解しないと生理学的に意味不明なことを繰り返し、治癒を目指しているはずなのに、治癒を阻害することを日常的に行っていたり、せっかく状態を整えたのに崩して返していたりとわけのわからないことが日常的に行われています。
そういうことをしていたらいつまでも治るわけないでしょう? と思うのですが、今までそれですんでいたからそれを続けているなんてところも聞く限り多くあるようです。
さて、ずばり書いてしますと、
腰痛が楽にならない、いつもつらいという方の原因は、
1.常識という名の思い込み
と
2.常識から派生した意味不明な身体動作
にあります。
まず、”痛み”について誤解が酷い。いつのまにか、痛み=悪いものという思い込みが形成されている不思議。痛みがないと体はどこまでも無理が効き、壊れそうどころか壊れてもその動作、姿勢を取ろうとし続けることが可能になってしまいます。痛みは、安全装置です。
たとえば道路工事、せっかく工事している箇所を立ち入り禁止にしないと、いつまでも工事が進まない、終わらないなんて状況が生まれかねません。だから周りを囲って警備員を配置して、一時的にご迷惑かけますが、迂回してくださいと案内しているわけですね。からだも同じです。せっかく炎症をおこして治癒を進めている箇所をいつでも動かせてしまう状態にすると、炎症を起こして治癒した部分が引っ張られまた傷むなんてことが起こり得ます。それを繰り返し続けると、いつしか傷んだ状態、壊れた状態が当たり前、痛みが出ているのが当たり前になります。これ、慢性痛ですね。そうならないように、今、できるだけその方向に動かさないでくれと教えてくれるのが痛みの役割です。つまり、痛みは傷んだ個所を治すための警備員なのです。
これらを踏まえからだを楽にする方法を一言で表現すると、不快(痛い、気持ちの悪い)なこと(動作、姿勢)をするなということです。それをしなければそもそも痛みがそこまで強く発生することはありません。だって、出す必要がないですしね。
※とはいえ、過剰炎症やどうしても仕事や生活でしなければならない動作、姿勢はありますのでその場合は、冷却(アイシング)、固定補助(テーピング)、鎮痛などを適宜利用しつつ最適化を目指します。
あらためて、だれが痛み=わるものとしているのか?
少なくとも明らかな外傷性(交通事故やコンタクトスポーツなどでの強い接触行為)ではない痛みは、間違いなく痛みが悪者ではなく、あなたが悪者です。あなたがからだの警告を無視して、からだにとって不快な行為を続けてきたので、からだが”不快である”とさらなる強い警告を発している状態が今の痛みに悩まされる日常なわけです。
だので、痛みと敵対するのではなく、痛みに耳を傾け、からだの声に耳を傾け、快(楽、痛くない、つらくない)と感じる動きを中心にからだを動かしていくことが大切なことになります。
そして、常識から派生した意味不明な身体動作についても少し。
世間的に良いとされる動きであっても、あなたにとって良いかどうかは、からだの感覚が決めています。この感覚を原始感覚(快/不快)と言います。
どうも、日本人て勤勉過ぎて明後日の方向に向かいがちです。
つらいことを続けると何か良いことがあるのではないか?、苦行の果てに求めるものが、……などの発想でしょうかね?
確かに、目標を達成するために、筋力的な強度や持久力が必要な目標もありますが、それは別件。
こと、腰痛、肩こりなどは日常的な生活、動作、姿勢の要求によりからだがつらい動きをずっと続けてきたことにより、からだがこのままだととても”不快”(気持ちわるい、つらい、痛い)という反応を返しているだけのことです。
もちろん、筋力的な成長によりそれらが改善するケースもありますが、それは状態に合わせたトレーニングを設計して、しっかりと計画的に鍛える必要があります。
私自身は、重症者専用の腰痛対策プログラムでは段階的に、体幹を支える筋肉群、歩行動作を支える筋肉群、仕事や日常生活で要求されるからだの使い方を踏まえて、
身体調整+からだの使い方、鍛え方の指導をしています。
身体調整は2段階。
1.余分な痛みを取る段階:骨格と関節運動の観点からの動作と痛みの関係を読み解く段階。※通常1~2回程度
2.からだの歪みを取る段階:日々の疲労からくるからだの歪みのうち、自力で取れず蓄積してしまった部分(固定、固着)を、調整を通じて反射的に収まりの良い位置に収めていくことで、からだの動きがスムーズに行えるように調整をする段階
基本的にこの二段階のみです。
あとは状態に合わせて、鎮痛目的の鍼、灸を加えるか加えないか。
からだの使い方の段階は個々人でかなりことなります。
〇本人のからだの状態にあわないストレッチ、筋トレなどをより分ける段階
〇フォームの改善など姿勢・動作改善が必要な段階
〇体験を書き換える段階※良い動作、悪い動作はわりと思い込みによって作られてしまうので、楽な動作、苦しい動作を体験して、認識を書き換える必要がある。
〇筋トレが必要な段階※インナー系、アウター系どちらを優先するかはケースバイケース。
きっちりと日常動作の改善まで行うと重度の腰痛を訴える方でもハイキングやちょっとした山登り程度なら平気くらいまでなら半年~1年くらいで達成できたりするものです。※当然個人差はありますし、状態によっては受けられない、対象外の方もいます。
ま、重症者専用の腰痛対策プログラムまで必要な方は本当に困って、「ここで最後と決めてきました」レベルの方なんで結構プレッシャー掛けられますが、まあ、こちらは筋道付けて段階分で進めていくだけである程度のゴールは見えますので、腰痛って正直施術家としてはあまり苦労しないんですよね。
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