頭痛のための徒手調整術
ども、からだのエンジニア&からだの専門家 鍼灸師&整体師 藤井崇次(泰心堂)です。ちょうどクライアントから質問があった話なので、ついでにここでもしておこうと思います。
題して『頭痛のための徒手調整術』。
結論から始めると、手を出してもOKな頭痛は、泰心堂式では同じやり方で施術してOK。頭痛を出す必要がなくなれば、自ずと解消されます。泰心堂式は頭痛を出している状態の変化を促す手技なので、あとは体の方で自動的に最適化をするので、細々とした症状に注目する必要がありません。
では、本編というかまず注意事項から。
1.手を出してOKな状態と、手を出すべきではない状態を分けましょう。
2.手を出すべきでない状態は、脳外科、頭痛専門外来など病院での検査を勧めましょう。
3.手を出してもOKな状態であっても、一発解消は狙わないこと。
では、本編。
まず1から。これは顧客の利益を損なわないために、必須です。
物凄い簡単にお話しておくと、外傷性=頭をぶつけた直後から数日に当たるケースと脳卒中の前駆症状などに当たり脳の器質的問題が疑われるケースをちゃんと分けておきましょう。あとちょっと注意が必要なのは”てんかん発作”などが疑われるケースですね。診断済みなど自覚しているケースは注意を払いつつ施術での良いのですが、無自覚の場合、未診断の場合は要注意です。
基本的に、整体院などに来院する時間的な猶予がある方は、めったに該当しませんが、注意は必要です。
分けたら、2の手続きで、また未診察、未の場合はその後の顧客利益を考え、専門医に相談しておくことを勧めるのが基本手順です。
手を出してもOKな頭痛の場合は、どのようなタイプのものであるか、いつ、どこで、起こりやすいか、どのような状況、誰といると発生しやすいかなど種別と好発条件を探り、そのうえで現在のからだに現れているサイン(徴候)を拾っていくことが大事です。
現場での施術のコツとしては、厳密に分けようとし過ぎて、ハマらないこと。そして、原理原則に基づき、手数を減らすことですかね。
まずはざっくりどういうタイプなのかを、場所や痛み方、時間帯などのいくつかの観点から分けておきます。ここでのポイントは施術者側の都合ではなく、これはどちらかというと、クライアント側の都合による分類であるべきだということです。
○○型頭痛と分類するのは施術者や研究者などに都合の良い分類法であって、必ずしもクライアントにとって都合が良いわけではありせん。クライアントは別に専門家ではありませんし、私たちとは育ってきた環境も違います。それはすなわち文字は同じでも表現している内容(ニュアンス)が異なることがあり得るということです。なので、言葉だけ取ってこれは○○だからというのは施術者側の都合に過ぎません。
そうではなくて、○○というニュアンスの頭痛が発生しているからだの現状を認識してもらうためのパターンに程度に考えておいた方が実践的であるということ。
厳密に分類して、特定の調整方法とリンクさせようとすると、パターン数がどんどん増えていくだけで、逆に何を選択してよいのか混乱しやすくなりますし、調整方法自体も(効果るかないかに関わらず、あるかもしれないというだけで)無数に使いこなせるようにならなければいけないので、正直時間の無駄です。
であれば、検査→調整→変化確認の工程をループさせて、変化を追っていた方が現場として建設的です。
さてでは次に行きましょう。
現状認識の次の段階が、意図的にギャップを作る段階であり、つまり調整の段階です。
とかく施術者はこの調整方法に意味があるとか、調整部位に特定の効能があると思いがちですが、人体構造上そういうものではありません。その場所の処置が必要がある場合、例えば傷口を塞ぐなどを除いて、脊髄反射、脳幹など中枢反射などの刺激の入力に対しての中枢機能からの反応により調整が行われます。
この辺のお話は中学高校の教養レベルなので、本来、皆さんご存じのお話ですね。
なのに東洋医学の(説明、説得のための)都合の良い話(妄想、幻想、ファンタジー)を信じたがるのは正直、不思議な感覚があります。私たちは御伽噺の登場人物ではなく現実生活を営んでいるのですから、現実に即して解すべきなんですけどね。
話を戻しましょう。
調整は刺激すること自体に意味があるわけではなく、調整的刺激を入れたことによりからだがどう変化するか?どこまで変化するか?などからだの対応をみるためのものです。
これ、要は変化するのならば、施術方法はある意味で何でもよく、からだが変化しなくなれば、少なくとも当日、当回においては施術を終了してよいということです。
今回は、頭痛のお話なので、よくありがちなのが、”頭痛がなくなったことをもって施術を終了したい”という願望に囚われ、無駄な刺激をだらだら続けてしまうという問題ですね。刺激行為というのはダメージであるということを忘れてはいけません。無駄に刺激したら、その分なおさなければならない箇所が増えます。体力、治癒力を振り分ける箇所を増やし、結果疲れるだけで状態が変わらないなんて話は本末転倒です。
先に述べた通り、”頭痛の起こっている体の状態”に対して、”調整”を加え、”変化を促す”ことが施術の目的です。調整行為に対して、目立った変化がなくなった時点で、施術は終了すべきです。あとは、からだの担当分とわりきるとうまくいきやすいですね。
ぶっちゃけますが、泰心堂-徒手調整術研究部-の施術案件の中には、後頭骨同調という基本手技のみで施術を終了することもあります。この場合は、事前のチェックでギャップ(違和感)、例えば腕の挙上動作が途中で引っ掛かているといくつかのからだの基準を確認しておき、、調整後に改善または解消されているなどが終了の目安になります。
終了条件を満たした場合、あとの手続きは蛇足に過ぎません。
なんで、後頭骨なのかというと、カイロプラクティックにおけるメジャーーマイナーの考え方に基づき、後頭骨に調整点を集約している都合と、後頭骨と上部頸椎の関係性を整えたいという上部頸椎カイロプラクティック的な考え方などの影響でしょうね。
正直別に後頭部じゃなくても調整は可能です。韓国式の高麗手指鍼術(瑞金療法)ではてのひらを用いて全身の調整を行いますし、安倍吽命易先生の相命整体なんかでも手指関節の捻じれを調整して、末端の捻じれ→中心の捻じれと影響を与えて連鎖的に調える手法ですし、まあ、手法は色々です。
ただ、共通点は、からだが十分に変化しきったかどうかですね。
頭痛の場合は特に首との関係もチェックしておいた方がよく、泰心堂では手首、足首、首のチェックをして十分かどうかをみて終了の一つの目安にしています。
これらが施術者側がきちっとできて、クライアント側が、”今までと同じ生活”をただして、養生に努めていただければ、頭痛の調整は非常にシンプルになります。
・・・・・・というか、今までに来院された他所で頭痛の悩みを相談して施術を受けていたクライアントが軒並みびっくりされているのが不思議です。いただく感想ってこんな感じが多いです、マジで。
「え?もう終わりですか?」
「何かしました?」
「起きたら、終わっていて、時計見たら10分しかたっていなかった」
とか。
別に長い施術がよいというわけでも、短い施術が良いというわけでもなくって、先ほども書いたように、十分な変化が促されたのなら、あとは体に任せればよいだけです。
まあ、サービス業なんで、多少の時間調整とか、施術を受けた感を増すための手数とかは必要だとは思いますけどね。
では、今回はこんな感じで。
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